看護の資格を生かして、学校の保健の先生になりたいと考えていませんか?
養護教諭の仕事は、分かりやすく言うなら学校の保健室に勤務する先生のことです。この仕事は、看護師というよりは教員に近い位置づけとなっているのが特徴です。そのため、養護教諭の養成課程を専攻して、資格の取得が必要となります。看護の資格を持っている人なら、一定の条件を満たせば資格取得が可能です。
ここでは、必要な資格を始め、どのような仕事内容かについて分かりやすくご紹介します。これから仕事探しをしたい人にとっては、どこから始めたら良いかが分かるでしょう。
1.養護教諭の業務内容
この仕事は、学校の保健室に勤務して、生徒や職員の体調管理をするのが主な職務です。ケガをした人に対しては救急処置を行います。しかし対応が難しい時には、病院への搬送を手配したり同行もします。また、教育機関では定期的に健康診断がありますが、医師と連携して手配することも職務です。
さらに、健康の悩みに足を運んだ生徒や職員に対しては、保健室相談を行います。例えば、持病があって激しいスポーツができない子なら、担当教師に報告します。周囲の子供に対して、理解を求めるための説明を行うこともあるでしょう。
また、保健学習を行うことも職務の一つです。正しい手洗い方法を指導するなど、学校環境の改善や向上に貢献します。

養護教諭の仕事は、注射や点滴などの医療行為をすることはなく、デスクワークを中心とした仕事がメインです。
2.養護教諭に必要な資格・スキル
養護教諭として働くためには、免許状が必要です。この免許がなければ採用試験を受験できないため、看護の資格だけでは十分ではありません。つまり、看護の資格に加えて、免許状を持つことで、初めて採用試験を受験できます。
この免許状には、大学か短大・専門学校かなどの経路によって、3種類あります。大学を卒業した人なら、一種免許状を取得できます。短大もしくは専門学校なら、二種免許状を取得できます。そして、大学院を卒業した人なら、専修免許状を取得することが可能です。どの免許でも、採用試験の受験資格は変わりません。
看護師は、既に看護の資格を持っています。しかし、受験資格を得るためには、この免許を取得できる大学に在籍する必要があります。できるだけ短期間で転職を目指すのなら、短大や専門学校に通うのが良いかもしれません。
看護の資格を既に持っている人の中には、加えて保健師の資格も持っている人もいます。この場合、詳細は下記で説明しますが、特定の施設に半年間在籍すれば、免許状を取得できます。
この受験資格を満たしたうえで、年に1回開催される教員採用試験を受験します。多くの場合、筆記試験の後には論文や面接試験があります。それ以外にも、模擬授業で子供の関わり方がチェックされる試験もあります。どの自治体を受験してもOKなので、日程が合えば複数の試験を受験するのが良いでしょう。
3.最短で養護教諭になる方法
看護の資格を持っている人が最短で養護教諭へ転職する方法は、どんなものなのでしょうか?できるだけ最短で免許状を取得することが、最短コースに繋がります。
短大や専門学校では、卒業までにかかる期間は2年間が多いです。しかし、養護教諭を養成する施設なら、1年での卒業が可能です。最短という点では、これが一番の近道と言えます。しかし、全国各地に施設があるわけではありません。北海道教育大学を始め、山形や新潟、金沢や岡山、熊本と富山の7カ所のみです。養護教諭の免許状に必要な科目を習得して卒業すれば、免許状を取得できます。
既に看護の資格と保健師の資格を持っている人なら、最短期間は半年です。上記の養成施設で必要な単位を修得すると、免許状を取得できます。
免許状を取得してから採用試験を受けるまでに、近道はありません。毎年3月あたりから説明会が開催され、いよいよ必要書類をそろえて出願が始まります。この時期に合わせて出願すると、7月に行われる一次試験を受験できます。その後、何回かの試験が行われ、最終的に合否が決まるのは9月から10月ごろです。
採用となった場合でも、勤務は翌4月からとなるケースが多いでしょう。つまり、養護教諭として働くためには、数年計画で準備が必要ということです。働きながらでも準備はできるので、期間には余裕をもって準備したいものです。
4.養護教諭の平均年収

この仕事の平均年収は、約710万円程度と高待遇です。看護師全体の平均収入は500万円以下なので、比較すると待遇が良いと言えるでしょう。
この仕事は教員と同じ立場で、公立の学校なら公務員という位置づけです。そのため、年齢と経験値が高くなることによって給与も上がる傾向があるのです。
養護教諭は、パートではなく正社員で働くのが一般的です。手当や待遇が良く、年に1回~2回のボーナスも期待できます。具体的にいくらぐらいのボーナスかは、職場によって大きく変わります。しかし、待遇面という点においては、とても良い条件で働けそうです。
5.養護教諭で働く看護師の1日の流れ
- 7:30出勤
- 保健室の清掃やメールなど確認します。
- 給食の献立を見てアレルギーのチェックを行います。
- 8:00生徒登校
- 登校時に生徒が怪我をした場合などは処置を行います。
- 学校に馴染めていない生徒のなどの対応を行います。
- 8:15始業
- 生徒が教室に入ったら、健康観察を行って体調が悪い生徒などを把握します。
- 教育委員会などからの調査依頼の処理など事務作業を行います。
- 12:15昼食
- 職員室で給食を食べます。
- 13:00環境衛生管理・保健委員会の実施
- 委員会の日程調整や開催通知の作成配布を行います。
- 教員と学校を点検し、危険箇所がないかチェックを行います。
- 16:00下校
- 校内の打ち合わせ会議に出席します。
- 16:45終業
- 学校行事の準備や事務作業を行います。
- 18:00退勤
- 業務が残っていたり行事の前は21時頃まで残業になることもあります。
6.養護教諭の仕事メリット・デメリット
看護師が企業で働くには、次のようなメリット・デメリットがあります。
〇 メリット | × デメリット |
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それでは、詳しく見ていきましょう。
6-1.養護教諭の仕事:メリット
●メリット1:給料と福利厚生が充実している
1つ目のメリットは、安定した給料と充実した福利厚生を享受できる点です。公立か私立かによって異動の有無は異なりますが、転居を伴う転勤は稀です。基本給は毎年少しずつ上がりますし、手当も手厚いという魅力があります。
●メリット2:長い夏休みがある
2つ目のメリットは、長い夏休みがある点です。学校が休みの時期には出勤する必要がありません。週末や祝日はもちろん、夏や冬、春にはまとまった期間の休みがあります。
●メリット3:子供達から元気をもらえる
3つ目のメリットは、子供達から元気をもらえる点です。毎日元気いっぱいの子供たちと接することで、エネルギーやパワーを受け取れます。
6-2.養護教諭の仕事:デメリット
●デメリット1:求人が少ない
1つ目のデメリットは、求人が少なく、出ても高倍率の大激戦になる点です。条件と待遇が良く、規則正しい勤務時間のため、看護の資格を持つ人には人気があります。退職する人が少ないために、求人がなかなか出ないのです。
●デメリット2:看護師のキャリアアップが難しくなる
2つ目のデメリットは、臨床経験から離れてしまう点です。看護の分野でスキルアップやキャリアアップしたい人にとっては、物足りないでしょう。専門看護や認定看護を目指す人にとっても、臨床経験がないことはマイナスかもしれません。
●デメリット3:数年ごとに異動がある
3つ目のデメリットは、公立の教諭なら数年ごとに異動がある点です。転居が必要な異動は少ないものの、同じ職場で長く働くことは難しいでしょう。ただし、私立の学校なら移動ナシの職場はたくさんあります。
7.養護教諭に向いている人・向かない人
こちらでは、産業看護師に向いている人・向かない人を紹介します。
〇 向いている人 | × 向かない人 |
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それでは、詳しく見ていきましょう。
7-1.養護教諭の仕事:向いている人
この仕事に向いている人は、生徒を受け止めてフレキシブルに対応できる人です。職員も保健室へ来室する事はあるものの、メインは生徒です。子供の中には、上手く体調を説明できないこともあります。どんな場合でも、柔軟かつ穏やかに対応できる人なら、この仕事に向いていると言えます。
心理カウンセラーの資格を持っている人や、興味がある人も、この仕事に向いています。近年では、いじめで悩む生徒や不登校の生徒が増えています。保健室へ相談に来る生徒も少なくありません。心理関連の資格を持っている人なら、適切な対応ができるとともに、心のケアもできそうです。
7-2.養護教諭の仕事:向かない人
それでは、どんな人は向いていないのでしょうか?看護の分野でスキルアップしたい人は、残念ながら向いていません。臨床現場から離れてしまうため、スキルアップやキャリアアップが難しくなります。上級看護の資格取得を目指している人もまた、労働環境が物足りないと感じてしまうでしょう。
子供が苦手という人も、残念ながらこの仕事には向いていません。小学校から高校と職場は幅広いですが、メインに対応するのは生徒、つまり子供です。子供が苦手な人にとっては、この仕事はストレスが増えてしまうかもしれません。
8.まとめ
今回は、養護教諭として働くための条件や資格についてご説明しました。
具体的にどんなプロセスで転職するかが分かれば、より具体的な計画を立てられるでしょう。もしも看護の資格を生かせる職場を探すなら、ぜひこの記事を参考にしてください。
養護教諭は待遇がとても良い仕事ですが、競争率がとても高く、狭き門という特徴があります。教諭免許状を取得してからもハードルが高い点は、覚えておきたいものです。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
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