転職を考えたとき、今いる職場に退職の意思を伝える必要があります。
「明日から来ません」と言って辞めるのは、社会人として失格です。
また、退職の意思は伝えるタイミングを誤ると、病院側に迷惑をかけたり、場合によってはトラブルになることも…。
それでは、どのタイミングで退職の意思を伝えれば良いのでしょうか。
そこで本記事では、退職の意志を伝えるタイミングとその方法について解説します。
本記事を読めば、円満に退職して新しい職場でのキャリアを気持ちよくスタートできますので、ぜひ最後までご覧ください。
1. 退職意思を伝える法律上のタイミングとは
転職する場合、退職の意志はどのタイミングで伝えれば良いのでしょうか。
まずは、法律上の規定を確認しましょう。
1-1. 民法では退職の申し出から2週間で雇用契約が解除となる
民法では、退職を申し入れてから2週間経てば雇用契約は解除されると規定されています。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
労働者には「退職の自由」が保証されているのです。
そのため、労働者は辞めたい時にいつでも雇用契約の解除を申し出ることができます。

ただ、法律の規定どおり2週間で退職できるかと言うと…。
職場への影響が大きいため、実際には難しいのが現状です。
そのため、次のような特殊な事情がある場合を除いて、2週間で退職するのは避けてください。
- 上司からのパワハラで精神的なストレスを抱えている
- 体調不良により業務の継続が難しい
1-2. 職場の就業規則よりも民法が優先する
退職日の設定は、病院側の就業規則よりも民法の規定が優先されます。
職場の就業規則に「退職日の2ヵ月前までに申し出ること」と規定されているとします。
この場合も、退職日の2週間前までに申告すれば退職は可能です。

ただ、「就業規則」は病院の規模や人員体制を考慮した上で定められていますので、就業規則に沿わない退職は病院側とトラブルになる確率が高まります。
円満退社を目指すのであれば、就業規則に沿った退職手続きを心掛けてください。
1-3. 退職日は休日を含んだ2週間後でOK
12月31日を退職日とする場合、2週間前の12月18日までに退職意思を申告すればOKです。
この2週間は、土日祝日を含んだものになります。
また、退職日を休日に設定しても問題ありません。
2. 退職意思は退職日の1~3ヶ月前に伝えるのが理想
前述の通り、民法では退職の意志を2週間前までに伝えればOKとしていますが、一般的には辞める1~3ヶ月前に伝えるのが理想と言われています。
その理由は、次の3点が挙げられます。
- 後任者がいない場合は新しく人を採用する必要がある
- 後任者がいたとしても引き継ぎに時間がかかる
- 「辞めないで欲しい」と引き止められることがある
特に看護師は業務内容が多いですし、引き継ぎには相当の時間が必要です。
きちんと引き継ぎを済ませ、気持ちよく辞めるためには、ある程度の時間が必要です。
退職する意思を固めたのであれば、余裕を持って意思表示ようにしましょう。

退職日まで十分な日数があれば、引き継ぎや退職手続きを落ち着いて出来ます。
また、有給休暇が残っていれば、それを消化することも可能ですよ!
3. 円満退職に向けた4つのステップ
退職の意志を固めてから退職するまでには、4つのステップがあります。
円満退社を目指すのなら、各ステップを事前にイメージすることが重要です。
3-1.(Step1)退職する意思を固めて申し出る
退職の意思を固めたら上司に申し出ましょう。
先述したように、円満退職を目指すのであれば辞める1~3ヶ月前までに伝えたほうが良いです。
民法では2週間前に伝えれば良いとされていますが、就業規則に定めがある場合はできるだけ従ってください。
その方が、職場とのトラブルを未然に防ぐことができます。
3-2.(Step2)退職を認めてもらうよう交渉する
優秀な人材ほど、上司から「なぜ辞めるの?」と必ず聞かれます。
この場合、今の職場に不満があって辞める場合でも、ネガティブなことは伝えないでください。
不満を伝えると「その不満は改善するから辞めないで欲しい」と引き止められる可能性があるからです。
また、職場に残る人の心象を悪くしてしまうこともあるかもしれません。
ですから、不満がいっぱいあって辞めるという場合でも、次のようにと伝えるようにしましょう。
- 他にやりたいことができた
- 今の仕事とは違う分野で頑張りたい

このように、個人的で前向きな理由の方が上司から受け入れられやすいため、円滑に退職することが出来ます。
3-3.(Step3)退職日や有給休暇の消化を調整する
病院側が退職を受け入れてくれたら、退職日や有給消化のスケジュールを調整します。
民法の規定により、退職日から2週間以上の期間があれば病院側は退職希望日を認めざるを得ません。
ただ、「繁忙期の〇〇日まで病院にいてほしい」とお願いされることがあります。
このような場合は、出来る範囲で協力する姿勢を見せたほうが良いでしょう。
これまでお世話になった病院です。
その方が、お互い良い関係を保ったまま退職することが出来ます。
3-4.(Step4)退職届を提出する
「退職届」は職場に辞めますと宣言するために出す書類で、退職の合意が得られたら必ず上司に提出してください。
退職届は、病院指定の書式があればそれを使いますが、特になければ市販の便箋に手書きし、上司に直接手渡します。
縦書き、横書きどちらも書く内容は同じですが、日付を書く位置など形式が異なりますので、注意が必要です。
一方、「退職願」は職場に退職を願い出るために提出する書類です。
提出しただけでは退職が認められたことにはなりませんので、ご注意ください。

「退職届」と「退職願」の違いは、次章で詳しく解説しています。
4.「退職願」は提出が必須のものではない
退職を願い出る時とき、次のような疑問をお持ちではないでしょうか。
- 口頭で「やめます!」と言うだけではだめなの?
- 退職願は必ず書面で提出する必要があるの?
そこで、退職の意志の伝え方と「退職願」と「退職届」の違いをお伝えします。
4-1.「退職願」と「退職届」は何が違うの?
「退職願」と「退職届」は名称が似ていますが、次のような違いがあります。
区 分 | 役 割 | 職場との合意 | 撤 回 |
退職願 | 辞めることを願い出るための | × | ○ |
退職届 | 辞めることを宣言するもの | ○ | × |
もし間違えて提出すると、その後の手続きに大きな影響を及ぼしますので、両者の違いをしっかりと押さえておきましょう。
退職願
退職願は、病院側に辞めることを願い出るために提出する書類です。
提出時点では、まだ病院側から退職についての合意が取れていませんので、自ら退職願を撤回することが可能です。
退職届
退職届は、病院側に職場に辞めることを宣言するために提出する書類です。
通常は病院側から退職の合意が得られた時に提出します。
退職届が病院側に到達し効力が発生した場合は、病院側の同意がない限り撤回は不可能です。
4-2. 確実に辞めるためには書面で伝えるのが一般的
退職の意志表示は、手段や方法について法律に明確な規定がありません。
そのため口頭による意思表示でも効力を有します。
しかし「言った、言わない」の問題になることが多いため、書面で退職意思を伝えるのが一般的です。
ただ、上司や先輩に相談せず、いきなり退職届を出すのは一方的過ぎます。

円満退職を望むのであれば、上司に退職の意向を伝えるか、退職願を提出してください。
そして退職が確定したら退職届を出すようにしましょう。
5. 転職エージェントは退職交渉も行ってくれる
看護師の場合、働きながら転職活動をするのはかなり大変です。
そこで、転職エージェントを利用し、希望に合った転職先を探す方が増えています。
退職交渉の代行を行う転職エージェントもあります。
辞めたいのに辞めさせてくれない、業務が忙しくて退職意思を伝えることができない、という方にとっては嬉しいサービスではないでしょうか。
もし退職交渉に不安を抱えているのであれば、転職エージェントの利用を強くおすすめします。
6. Q&A
退職手続きや有給休暇の消化、雇用形態による退職方法の違いなど、Q&Aでまとめました。
Q1|退職までの2週間で残っている有給休暇を消化しても良い?
有給休暇の取得は、労働者の権利ですので、自身の有給休暇が残っているのであれば、取得しても問題ありません。
法律でも認められていて、病院側は有給休暇を取得すると言われたら拒否できません。
いっぽうで、有給休暇が残っていても取得せずに退職日まで働く人もいますので、最終的には個人の判断に委ねられています。
Q2|退職までの2週間、全て欠勤しても良い?
退職日までの2週間、すべて欠勤することもできます。
就業規則で「無断欠勤が2週間続くと懲戒処分」といった規定がある職場もありますが、この2週間は営業日で数えますので、土日の休日はカウントされません。
そのため、懲戒処分を受けることはありませんのでご安心ください。
Q3|派遣看護師などの有期雇用でも2週間で退職できる?
派遣などで看護師をしている場合、2週間前の申告で退職できる場合とできない場合があります。
- 病気やケガなどやむを得ない事情で働けなくなった
- 契約の初日から1年経過した
上記の場合は、契約途中でも退職することができます。
これらの条件に当てはまらない場合は、契約期間満了まで辞めることができません。
Q4|辞めると伝えたその日にすぐ辞められる?
すぐに辞めたいという気持ちはわかります。
ただ、病院側と合意していないのであれば即日で辞めることはできません。
どうしても行きたくないのであれば、辞めると言ってから有給休暇を消化したり、欠勤して2週間が経過するのを待つしかありません。
しかし、こういった辞め方は去る方も去られる方も良い気分ではありませんので、避けた方が良いです。
Q5|退職届を受け取ってくれません。辞められますか?
辞めると言っているのに、職場があれこれ理由をつけて退職届を受け取ってくれないこともあります。
退職届を受理しない(受け取りを拒否している)場合でも辞めることは可能です。
ただ、退職の手続きが進まず転職先に迷惑をかけますので、書面で提出したことを証明する必要があります。
このような場合は郵送で退職届を提出することになりますが、普通郵便ではなく、配達記録付き内容証明郵便で送るようにしましょう。
郵送で提出する時は、退職日を書面が職場に届く日の2週間後にします。
内容証明郵便は公的な証拠となるので、いくら相手が受け取り拒否しても提出したと認められ、退職することができます。
7. まとめ
転職のために現在の職場を辞める場合、法律上では2週間前の申告で可能です。
しかし、業務の引き継ぎや退職手続きをスムーズに終わらせるためには、余裕を持って1~3ヶ月前までに申告することが理想です。
転職を考えていることは前もって上司に口頭で伝えましょう。
働きながら転職活動を行い、新しい勤務先が決まったら、速やかに退職の手続きを進めてください。
看護師の仕事は激務ですから、日々の業務の合間に手続きを進めるのは大変です。
しかし転職するのであれば必ずやらなければならず、避けることはできません。
たとえ転職理由が嫌なこと、辛いことであっても、最後は皆から気持ちよく送り出され、感謝の気持ちを持って辞められるよう、万全の準備をしてください。
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