「職場を変えると給与が減るかも…」と不安に感じていませんか?
就職活動には不安がつきものです。給与待遇が悪くなるリスクも、不安要素の1つと言えるでしょう。
収入減を理由に、つらい職場環境でも我慢して働いている方も多いでしょう。その一方で、「多少給与が減ってもいいから辞めたい!」と願っている方もいる思います。
でもこれらの悩みは、給与が減る理由・上がる理由を知れば、解消できます。給与がアップしやすい職場の特徴も知っておきましょう。
本記事では、給与条件に不安を感じている方向けに、有効な職探しの方法をご紹介します。
給与が下がらないコツを理解すれば、あなたも理想の給与条件の職場が見つけやすくなるでしょう。
1. 看護師転職で給与が下がる5つのケース
新しい職場で収入が低くなるのには、理由があります。その中でも、特徴的な5つのケースについて見ていきましょう。
1-1. ケース①:病院からクリニックへ転職
クリニックの大半が個人経営になります。総合病院などに比べると経営規模が小さく、従業員数もわずかです。このため、福利厚生や、給与待遇が充実していない職場も多いでしょう。
給与水準は前の職場と同じでも、福利厚生が少ないと出費が増えます。ボーナスの額が少なく、トータルの収入が減るケースも多いです。
結果として、年収が減少しやすくなります。
福利厚生には次の2つに分けられます。
・法定福利厚生
・法定外福利厚生
このうち、法定外福利厚生は住宅手当(家賃補助)や通勤手当、健康診断や人間ドックの受診料、家族手当などがあります。法定外福利厚生の充実により、生活費の負担が大きく軽減される場合があります。
1-2. ケース②:夜勤がない施設へ転職
上記のクリニックもそうですが、病棟勤務ではない職場は夜勤がありません。このような職場では、夜勤手当が出ませんから、当然収入が減ります。
夜勤は心身ともにハードです。「収入が減ってもいいから夜勤がない職場で働きたい…」そう希望するナースは少なくありません。
負担が大きくても収入を選択するか、心身の負担を減らすか、悩ましいところです。
しかし、健康を害しては元も子もありません。働く上で何を大切にするのかをよく考えて、より良い職場を選択しましょう。
公益社団法人 日本看護協会の「2019 年 病院看護実態調査」によると、夜勤手当の平均と月平均夜勤回数は次の通りです。
・三交代制準夜勤:4,141円(7.6回)
・二交代制夜勤:11,026円(4.7回)
これによると、二交代制夜勤は月平均で51,822円の夜勤手当が支給されていることになりますので、夜勤のない施設での勤務は月収がかなり減少することが分かります。
1-3. ケース③:限られた求人の中から転職先を決めた
退職して収入がゼロになると、「一刻も早く新しい職場を決めなければ」と焦ります。その結果、最初に内定を得た職場に決めてしまうケースも多いのです。
でも、応募先の選択肢が減れば、雇用条件の選択肢は限られます。その結果、給与が減ってしまった…ということもあるのです。
少しでも多くの求人情報を集めることで、それぞれの雇用条件を比較検討できます。面倒でも、なるべく多くの求人をチェックしてください。

「早く就職先を決めなければ…」と焦り過ぎないことが重要です!妥協せずに、慎重に決めましょう。
1-4. ケース④:求人情報だけで転職先を決めた
職探しには、さまざまな方法があります。ハローワークやインターネットを利用して、自力で職探しをする方も多いでしょう。
でも、自分一人での職探しでは、情報収集先が限られるものです。
少しでも多くの求人情報に接するためには、転職エージェントの活用をおすすめします。なぜなら、非公開の求人情報を多く持っているからです。
- 急遽人員を補給する必要がある
- 有能な人材を求めている
こういった理由で、非公開求人では一般公開せずに人材を募集します。人材を確実に確保するために、給与などの待遇が一般より良い求人が多いのです。
閉ざされた情報ですから、一人で探すのは無理と言えます。給与アップを目指すなら、転職エージェントの活用を検討してください。
1-5. ケース⑤:賞与・手当の確認不足
求人情報を探すときに、何よりも気になるのが「月々の給与額」でしょう。
でも、従業員に支払われる報酬は、月給だけではありません。役職手当や住宅手当、通勤手当など、月給以外に支払われるお金もあります。ボーナスも大きな収入です。
月給が高くても、手当やボーナスの支給額が少なければ、年収は低くなります。これらについてもチェックし、トータルで年収がいくらになるのかを確認しましょう。
2. 看護師転職で給与が上がる4つのケース
ここまで、看護師転職で給与が下がるケースを5つご紹介しました。この章では、逆に転職によって給与が上がりやすいケースを4つご紹介します。
2-1. 有料老人ホームは施設によっては高給が期待できる
医療・福祉の職場には、いくつかの形態があります。
県や市町村などの自治体が母体となっている施設や、医療法人や社会福祉法人などの法人施設もあります。また、一般企業が運営する会社組織も増えてきました。
福祉施設は民間企業の進出が急増している
医療施設は公立機関の他、医療・社会福祉・学校法人などが多いと言えるでしょう。
これに対し、近年では福祉施設の運営に民間企業の進出が急増しています。特に多いのが、有料老人ホームや訪問看護・訪問介護ステーションです。
民間企業が経営する介護施設は給与アップが期待できる
民間企業は営利団体として、営業収益を上げなくてはなりません。
業務効率化のためのIT推進、コスト削減など、さまざまな企業努力が行われています。一般的な法人の施設よりも収益を上げているケースが多いのです。
営業収益が高いので、従業員に支払う給与も高めに設定される傾向があります。給与アップを目指すなら、民間企業が運営する介護施設もチェックしましょう。
2-2. 訪問看護ステーションは人手を確保するため給与・待遇が良い
地域包括ケアシステムの確立によって、在宅医療・在宅介護が一般的になってきました。
看護業界でも、在宅看護を支える訪問看護ステーションの需要が高まっています。その結果、この分野にも民間企業の参入が増えてきました。
訪問看護の人材は、まだまだ不足しているのが現状です。人員を確保するために、給与条件が良い求人が目立ちます。
訪問看護ステーションは夜勤なしでも高収入が見込める
訪問看護には夜勤がないので、夜勤手当は期待できません。でも、急変時にかけつけるオンコール手当が支給されます。夜勤がなくても、収入が激減するケースは少ないようです。
年齢や経験による収入差が比較的少ないのも特徴です。若手や臨床経験が少なくても、給与がアップしやすい職場と言えるでしょう。

訪問ステーションは、夜勤なしである程度の収入が見込めるため、子育て中のママさん看護師に特におすすめの職場です。
2-3. 美容系職場は報奨金やノルマ達成によるインセンティブがある
美容外科や美容皮膚科などでは、診療の大半が保険適用外の自由診療です。
自由診療では、医療費を病院側が自由に決められます。このため、美容系のクリニックでは大きな収入が得られると言われています。
収入が大きいため、スタッフの給与待遇も良好です。
一般的なクリニックで働くナースの平均年収は約390万円と言われています。これに対し、美容系クリニックの平均は約500万円です。
夜勤がないので収入が減ることの多いクリニック勤務ですが、美容系は例外と言えます。収入600万円超えを達成している人も少なくありません。
美容系クリニックは販売ノルマがある
ただし、美容系クリニックでは看護の仕事だけでなく、販売業務も行います。
美肌効果の高い化粧品など、販売ノルマがある職場が大半です。ノルマを達成した人には、インセンティブが支払われます。
努力次第で大きな収入が得られる職場と言えるでしょう。
2-4. 産業保健師・産業看護師は残業が少ない割に給料が高い
産業保健師なども夜勤がなく、ワーク・ライフ・バランスが取りやすい職業です。
給与水準が高めの職場が多いのも特徴となっています。心身の負担が少なく、収入が高い職場を探しているナースから大人気です。
産業保健師や産業看護師は、企業の従業員の健康を守るのが任務となります。
大企業からの求人が多く、給与システムが整備されており、基本給が高めです。福利厚生も充実しており、ボーナスもたっぷりと支給されます。

産業保健師・産業看護師は、残業が少ないのも特徴です。そのため、夜勤・残業は当たり前の病院勤務に比べると、とても働きやすい環境と言えます。
3. 看護師転職で給与を下げない3つのポイント
給与が高い職場を探す以外にも、給与アップを実現するための3つのポイントあります。就職活動のコツを押さえて、好条件の求人を探しましょう。
3-1. 転職の希望条件を明確にする
私たちはお金を稼ぐために働きますが、お金だけが労働の目的ではありません。
ナースを志すからには、給与以外にも希望する条件があるはずです。それに、いくら給料が高くても、職場環境が劣悪なところは長続きしないでしょう。
自分に適しているのは、どのような職場でしょうか?今一度、考えてみてください。
職場に何を求めるのかは、人によって異なります。
- サービス残業なし
- アットホームな雰囲気
- 年間収入の最低ラインは350万円
- 教育制度が充実している
- 通勤時間は1時間以内
- 希望する診療科
- 産休・育休の取得実績が高い
このように、新たな職場に求める条件を箇条書きで書き出してみましょう。希望を「見える化」することで、職探しの方針が明確になります。
3-2. 求人情報を多く集めて比較検討する
職場に求める条件を箇条書きしたら、優先順位を決めましょう。
これらの条件の中から、どうしても譲れないものを選びます。そして、求人情報の中から、譲れない条件を満たすものをピックアップしていくのです。
ミスマッチを防ぐためには、数多くの求人を探すことが大切になります。
とはいえ、数多くの情報の中から、理想的な職場を探すのは大変です。でも、「譲れない条件」が明確であれば、応募するべき求人の取捨選択が容易になります。
譲れない条件を満たす職場をピックアップしたら、それ以外の条件を比較してください。箇条書きした条件を多く満たしていれば、理想的な職場に近いと言えるでしょう。
3-3. 転職サイトのキャリアアドバイザーに相談する
求人の中には、譲れない条件を満たしていても、給与が低いものがあるかもしれません。そんなときは、給与アップの交渉をしてみるのも有効な手段です。
でも、金銭面の交渉は苦手な方も多いのではないでしょうか。
このような場合は、転職サイトのキャリアアドバイザーに相談するのがおすすめです。担当のエージェントに、給与アップの交渉をお願いできます。
職場の決まりや慣例などによって、基本給は変えられないかもしれません。でも、交渉によって手当の支給額が増えるケースがあります。
また、給与をアップさせるための条件を話し合いで決めることも可能です。

さまざまな角度から交渉してくれますから、特に転職活動を初めてされる方は、転職のプロに任せてみましょう!
4. まとめ
就職活動において、応募先の給与条件は最も気になるポイントの1つです。今回の記事では、給与水準を下げない就職活動について説明しました。理想の条件の求人を探すコツがおわかりいただけたと思います。
給与が上がるケースや下がるケースなど、職場の特徴もお伝えしました。今までより収入面への不安が少なくなったのではないでしょうか?
収入を下げないポイントを押さえながら、求人情報を集めましょう。
自分が希望する条件をきちんと把握していれば、ミスマッチが少なくなります。この記事を参考に、ぜひ良い条件の求人を見つけてください。
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。